常識にとらわれずゼロベースで考える「起業の天才!―江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男」を読んで

コロナ渦でも株価が上がり続けているリクルートですが、創業者の江副浩正さんについて書かれた本を読んでいるところです。

起業の天才!―江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男 / 大西 康之

江副浩正さんはリクルート事件の贈収賄事件で逮捕され、戦後最大の企業犯罪として有名になった人なのですが経営者としては素晴らしい力を持っていた人物だと思います。

今では当たり前の就職情報誌ですが、リクルートが始めるまでは起業と就職活動をする学生とをつなぐ媒体はほぼ存在しませんでした。今では情報に大き価値があるということは当たり前のことですが、いいものを作れば売れた時代、情報に価値があるということに気づく人はほとんどいなかったようです。

学生向けの就職情報誌で成功し、転職情報、住宅情報など何かを求めている人と提供したい人をつなぐ仕事で成長しました。当然何かと何かをつなぐ意味では今最も効率的なインターネットでも、Suumo、HOT PEPPER、じゃらん、Indeedなど多くの人気サイトを運営しています。

採用情報から始まった会社だけに人材が大切だということもよく知っていました。逸話として創業時にリクルートで働く女性社員が「暗いうちに家に帰りたいのですが」という相談を上司にしたという話がありました。

「明るいうちに」ではなく? と思いましたがそうではなく「暗いうちに」でした。

情報誌は発行日が決まっていて間違いが許されないものなので、担当していた社員は締切のたびに朝まで残業していたそうです。男性社員はそのまま会社のソファーなどで始業まで仮眠を取りますが女性社員たちは次の日も同じ服でというわけにはいかないので外が明るくなるころ家に帰ってお風呂に入り、寝る間もなく化粧を直してまた出社していたそうです。

それを見た親たちからは「そんな会社は辞めてしまえ」と言われて上司に相談をしたそうです。
しかし、彼女たちは働くこと自体は嫌いではなかったのです。

そのころの女性と言えばいくら実力や学歴があっても会社に入るとお茶くみや男性社員の手伝いぐらいしかさせてもらえず、
実力を認めてもらえない。
自分も男性社員たちと同じように働きたい。
と考える女性が多くいたそうです。

もちろんこんな残業は今ではあってはいけないことですが、力のある人は若者であれ、女性であれどんどん仕事を任せていくというのがリクルートの社風のようです。

そのため、リクルートという会社が成長しただけでなく、リクルートを辞めてから別の会社の社長になったり自分で起業する人たちが非常に多くいます。
就職情報誌にしても女性の登用にしても、
「これまでなかったから」
「それまで当たり前だったから」
という常識にとらわれず、どうするべきかをゼロベースで考えることが大切だと思いました。